戦後日本の急速な工業化に歴史的な役割を果たしてきた機械式の工業用はかりをクボタは、電子はかりの普及後も社内で保管していました。これらは計量史上の貴重な製品であり、後世に広く伝え残すことは、はかりの未来にも意味があるはずです。そこで今回、所蔵数1万2千点に及ぶ国内最大の計量史展示館である東洋計量史資料館にクボタ歴代の工業用はかり5点を寄贈し、保存、展示いただく運びとなりました。
B型レジスター
予測計付き計重部
B型レジスター
予測計付き計重部
1937年(昭和12年)販売開始
複数の送り錘を手動レバーで操作し、さおの平衡をとる構造により、安定して高精度計量を維持。
トラックスケールや貨車スケールなどに使用された。
機械式はかりに印字装置を付加したことも大きな特長。
CR-3型
計重部
CR-3型計重部
1969年(昭和44年)販売開始
振り子式指示はかりシリーズの最終版。
指針を3回転させ目盛数を3倍に増やした。
精度向上や平衡時間の短縮を図るため、オイルダンパー・マグネットダンパーなどを導入している。
ひょう量30t、最小目盛10㎏(1/3000)の高精度化をトラックスケールで実現した。
HA(ハイアック)型
計重部
HA(ハイアック)型
計重部
1965年(昭和40年)販売開始
自動送錘はかりで、サーボ機構により、平衡時間の短縮化、工業はかりとして1/10000の最高精度を図っている。
支点には弾性支点(板バネ)を導入した。
1970年の大阪万博では、はかりに乗った来場者が牛乳を飲んだ際に、体重の変化が分かる展示などが行われた。
CR-75型
計重部
CR-75型
計重部
1975年(昭和50年)販売開始
平衡点までの変位を光電素子で取り出し、パルス信号に変換しデジタル方式で計数するため、アナログ式と比べ読み取りが容易となる。
風袋分を引くなども簡単に行えるようになった。
メリック円盤式
コンベヤスケール
メリック円盤式
コンベヤスケール
1955年頃(昭和30年頃)販売開始
ベルトコンベヤ上を移動する対象物の重量を連続的に計量できるはかり。
ベルトコンベヤの移動に伴い回転するディスクとその傾斜角から重量を算定、本州四国連絡橋建設時の基礎用コンクリート材料の連続計量などでも活躍した。
寄贈式は2024年4月5日(金)、東洋計量史資料館(長野県松本市)にて執り行われました。東洋計量史資料館の土田泰秀館長、クボタの吹原智宏精密機器事業ユニット長ほかご来賓の挨拶、寄贈品の目録贈呈、テープカットなどが滞りなく進み、寄贈品の視察も含めて終始なごやかな雰囲気の中で式を終えることができました。
左:精密機器事業/ユニット長 吹原
右:東洋計量史資料館/館長 土田様
式典の様子
学校法人常翔学園/理事
前田様
長野県計量検定所/所長
相澤様
寄贈した工業用はかりの視察
東洋計量史資料館で保存、展示されることとなったクボタの工業用はかりが歴史的な価値のみならず、機械式ならではの刃、刃受け、槓桿(こうかん)などの技術が再び、将来の技術発展に少しでも貢献することを期待しています。