質量のナゾと魅力
人びとの暮らしの身近な存在であり、経済取引の基盤となる「質量」。文部科学省の新学習指導要領によれば、小学校3年の3学期に「重さの単位(g,kg,t)」を学ぶのが標準とされています。それ以降、幾度となく計測したり、確認したりして慣れ親しんできたはずの質量ですが、実はとても奥が深い「量」なのです。そのナゾと魅力についてご紹介します。
はかりと重力加速度
はかりを正しく使うには、「誤差」を発生させる要因を知っておくことが大切です。その要因の一つが「重力加速度」です。国際法定計量機関(通称:OIML(International Organization of Legal Metrology)の国際勧告でも、はかりとは「任意の物体の質量を、その物体に作用する重力を利用して測定するために使用される計量器」と定義されており、「重力」ははかりにとって大変重要な意味を持っています。
計量単位<kg>の特異性
例えば、長さの計量単位として、昔は複数の単位(メートル、ヤード、尺など)が混在していました。しかし経済取引のグローバル化にともない、国際単位系を統一する必要に迫られ、7つのSI基本単位が制定され現在に至ります。質量の単位である〈kg〉もその基本単位の一つですが、他の6つ(時間、長さ、電流、熱力学温度、物質量、光度)と比べて、とても難しい存在だったのです。
厳しい計量法の規制
度量衡(計量の基準を定めた制度)は洋の東西を問わず、古代文明のいにしえから存在していました。わが国に目を転じると、日本史の教科書には、702年に文武天皇が唐の制度を導入して計量単位を統一したことや、天下統一を遂げた豊臣秀吉が太閤検地において、全国統一の竿(長さ)や枡(容積)を採用したことが書かれています。国づくりと人々の暮らしに必要不可欠な計量法の規制についてご紹介します。